長渕 剛〜[ホールツアー'2012・RUN FOR TOMORROW]鹿児島・2日目にして、今回のホールツアー九州地区ラスト公演。
会場口には、お馴染みの大型機材車がドッシリと停まっています。ホールツアーとは言え…このサイズ7台を要して、全国を回っているのです。スケール感が容易に想像つきます。
実は今回の全国ツアー、ステージを設営しているのが福岡の会社でして…頭として采配を振るっているのが僕の知人の方で、久しぶりに去年の会食以来の再会をしました(^^)。
ホールツアーが終わったら、福岡でツアー総括の話でもしながら会食する事を楽しみにしてます♪
9月、福岡からのギター1本センターステージ・アリーナツアーもこの方が同じ様に取り仕切るそうです。
さて、そんな〜2日目も昨日以上の熱を持って、開演前から何度となく、最前列から人波のウェーブが後方まで押し寄せる。剛コールも昨夜以上に高らかに轟きながら、オープニングの幕が切って落とされた。
鹿児島市民文化ホール。僅か、2000席にも満たない小サイズキャパでの高揚感もスペシャル感も充分。
今日も同衣装ながら、デニムのみダメージのブルーウォッシュに履き替えた、絶好調の長渕が1曲目からグイグイ全開で、一体感をもって〜引き込んでいきながら、会場は熱狂の坩堝と化す。今日ものっけから凄まじい迫力と演奏力である。「日本に生まれた」というこの歌は、険しい表情で歌うんですが…映し出されたスクリーンの長渕の表情が一瞬だけ笑った。会場の雰囲気にご満悦なんだろう。
とにかく、55歳には到底見えない、心・技・体を兼ね備えたこの男…まだまだ底知れぬパワーを感じさせる。
今回のツアーは、内部スタッフが「ヤバくないですか!?(^^)」と言う位、上々の完成度だそうです。
キッチリ〜骨格ある、1本のブレない流れがキレイに形成されている。
バンドスタイルで名テクニシャンのエレキにも負けない長渕アコースティックは、1本での弾き語りでも、幻想的ですらある世界観を一瞬にして作り出す。
1曲1曲が短編ドラマかの如く。
アーティスト誰しもが、飾り〜小綺麗にしようと…詩も言葉も耳障りの良いBGMとダウンロードの時代に、長渕は今なお温故知新を持って、ストレートな言葉(言霊)や詩、メロディーを研磨し続けている。
「SUCCESS」は、何度聴いても心魂揺さぶられる、長渕ロックのド真ん中ソング♪ アレンジも長めに昨夜とは変えてきた。
"LIVEは生物"
"曲は生き物"
であるという事をステージで体現し続けている。
今日は他の曲もアレンジを施した曲がありましたが……多少、くどいと思う事も(苦笑)
途中、MCでは今でも折々に出る?という、鹿児島弁丸出しで、昔から今の話を交え〜会場を笑いの渦に(^^)
「東京でTVに出る時、いつもねぇ、心の中で、「こげん奴(TV曲の人間?)に負けてたまっか!」と思ってるんだよ(笑)」
などと(笑)。
そして場面は変わり、長渕は静かにとつとつと語り始めた。
去年、被災地から子供20人位を霧島隼人に招待し、元気と勇気を出してもらおうと、1週間を共に過ごした話を。
山や海、川で一緒に、釣りやボート、スポーツや食事をしながら…最後の夜に、チビッコの前で沢山の歌を歌っていたその時、そこで一同みんなが一斉に泣き出したそうです。こらえていた、我慢していた何かが溢れ出てきたんだろうと……
それでも歌い、励まし続けた。
翌日、別れの日、見送る長渕の前に列を成すチビッコが1人づつバスに乗り込んでいく。すると、その内の3、4人がトコトコと長渕の元へ駆け寄ってきて、抱き付いてきたそうです。長渕は言ったそうです。
「大丈夫だ。今度はオレがお前のふるさとに行くから」 と。
そして、今年2月25日、長渕はその約束を果たしに福島県浪江町へ出向いた。放射能に恐怖感を抱きながら〜防護服に身を包み、目の当たりにした、横たわる風景や街並みは散々たるものだった。
震災と原発により、悲劇の舞台となった街を前に、長渕はいくつもの歌と曲を書き作った。そして世に歌い放った。
瓦礫の中、風に揺られる「2匹の鯉のぼり」。子供たちへ連綿と歌い継がれ…伝わってほしいと願う、「ガーベラ」。
「カモメ」では、東北だけでなく、鹿児島・川内原発の事にまで及んだ。そこの放射能廃棄物が、豊かな自然に囲まれた鹿児島のどこかの山に人知れず、こそっと埋められ…その汚染が進行していると。
わかってほしい……原発はエネルギーではなく、お金だと。
歌の中で、精根込めて…「原発さえ、なければーーーっ!」とシャウトした。
この歌が持つ意味も意義も、今ツアーで昇華した。
昨夜と同じく進むセットリストでしたが、本編ラストに遂にやってくれた、「桜島」! この曲は、2003年の発表後から〜ほぼ、全ツアーで演奏されてきた"鹿児島ソング"。今回のツアーでは、ここまで御披露目なく、しかも地元公演でありながら…鹿児島ゆかりの歌(気張いやんせ・いつかの少年、などなど)が1曲もない事に一抹の寂しさもありましたが、これで吹っ切れました♪
やっぱりコレだ!雲に隠れた今日の桜島を呼び覚まさんと〜会場も大噴火!
この歌で長渕がいつも叫ぶ、[オレとお前の歌だぁーーーっ!!!]が心にザックリ突き刺さってきて、たまらない♪
しかも「桜島」は、近年のアップテンポ気味のアレンジから、今日は原曲に近いヴァージョンで最高でした。
長渕が前半のMCで言っていましたが…「今日は桜島は雲に隠れて見えなかったけど、途中、雲の隙間から陽が差しててねぇ(^^)」と。
おそらく、そんな思いから今日の「桜島」になったんでしょう。長渕にはそんな衝動があるのを知っています。
その昔、僕が長渕にLIVE前に「JAPAN」というアルバムジャケットにサインを貰った時、その日だけ…そのアルバムの中から「シリアス」という曲を演奏してくれたりした事もありました♪ 勝手な想像ですが(笑)
今日の長渕は、僕から見ても実にいい表情と笑顔をしていた。
本編ラスト「桜島」から、アンコールの「乾杯」へと続き……ラストは「勇次」という珍しい?フィニッシュでした。
会場では、まだまだ剛コールの余韻が残る。
今ツアー最長の2時間52分のLIVE。
鹿児島での長渕のLIVEは、紛れもなく"祭り"そのものです。
長渕が今日言った、「前へ前へ、明日を信じて行こうよ!」を心に…帰路につく。
さて、残りのホールツアーの変貌をチェックしながら…ファイナルの仙台を検討しようかなぁ。
それを飛ばせば…次は、いよいよ9月の福岡・マリンメッセから幕切りのギター1本のセンターステージ公演となる。
音楽そのもの可能性やスケールを拓き続ける長渕は、どこまで走り続けていくのか…まだまだ期待が膨らむ。
"偉大なる音楽家"の行く道に乾杯である。