今回の鹿児島では、あまりにタイミング良く〜様々な事が重なっています(^^)
よりによって、今日と明日は、何と…長渕 剛の1年半ぶりとなる〜LIVEツアーにして、久しぶりのホールツアーです♪
[TSUYOSHI NAGABUCHI RUN FOR TOMORROW HALL TOUR 2012 Unplugged Live]
言うまでもなく地元凱旋LIVEです。
あの伝説の桜島オールナイトコンサートで75000人を集客した人気やカリスマ性に陰りがある訳ではく、コンセプト的なモノとしてのホールツアーです。
9月からのギター1本・センターステージによるアリーナツアーに先駆けた〜今回のホールツアーは、全27公演が行われますが、ファンクラブ会員ですら、1人につき、たった1公演しか申し込めないという超難関のプレミアムチケットであります。
スタジアムやアリーナを埋める事の出来るアーティストがホールクラスのLIVEをやるというのは、ちょっとした事件でもあります。
しかも…九州は、宮崎と鹿児島のみ!という今ツアー。
ただ…僕は、長渕と言えど、仕事の都合上、どうしても半年も先のチケットの申し込みやLIVEに行く予定が組める訳がなく、今回も直前に毎度の如く、裏から手を回し(笑)、2日間観れる事になりました(V)
僕にとって…2004年の同会場以来、8年ぶりとなる〜長渕 剛・鹿児島LIVE♪
否が応にもテンションが上がり気味ですが…今回、事前に、ここまでの各地のセットリストを見ると、近年に比べ〜曲数が少ない、選曲がイマイチ、公演ごとの選曲に代わり映えがない。などネガティブ感もあったりします(^^;)。
そんな初日の鹿児島公演は、ツアー開始から14本目を数えるという点では、演奏も練り込まれ、精度も高くなり密度も熟成されているという期待感は持てます。
さて…場内は2階席まで立ち見も含め〜ビッシリ埋め尽くされた、ホールならではの期待感で、ハチ切れんばかりの空気感が支配しています。
一連の長渕流〜震災復興支援で、社会的注目度を成す、鹿児島の英雄の帰還を待ちわびていたに違いありません。
開演アナウンスと共に一段と怒号のように増す、剛コールに、お馴染み〜イーグルスのテイクイットイージーのBGMが今回も宴の幕開けを告げる。
18時35分:暗転し、荘厳なSEの中、長渕のシルエットをバックライトが照らし出す。
日本を現す、赤丸が長渕の頭上に浮かび上がる。青白い光が交錯しながら〜バスドラがリズムを刻む。
オープニングはニューアルバム同様「日本に生まれた」。
切り替わった照明が長渕の姿を露わにする。型押しのブラックレザーJKを纏い、お馴染み〜ブラックタカミネのアコギを肩にかけ、黒髪に戻した長渕の顔にはサングラスがない!!!
珍しいオープニングである。
今ツアー、"アンプラグド"と銘打たれてはいるものの…オープニングから、前回ツアー同様従えた2人の名ギタリストによるツインリードエレキがバリバリ(苦笑)の泣きメロ全開である。
客席も意にも介さぬかのように、日の丸フラッグが至る所で右に左にと、揺れに揺れる。
アルバムの原曲より、なお一層〜逞しく力強くアレンジが施されている。
[曲作りはLIVEで完結する]と公言してはばからない長渕たる所以である。
1曲目を終えると早くも、JKを脱ぎ捨て、ビルドアップされた肉体が際立つタンクトップ姿に。ステージ後方に据えられたスクリーンから映し出される長渕の上半身は、すでに顔から腕まで汗が吹き出している。タンクトップにこだわる?のも長渕らしさか(笑)。
2曲目の「明日をくだせぇ」は、ハンドマイクでパワフルに歌い上げる。近年の長渕はトレーニングの賜物だろう、声が本当に良く伸び〜出続けている。
即興のリップサービス的、鹿児島の唄?から、続くは僕の大好きなアルバム[JEEP]より「お家へかえろう」アレンジ版。原曲でのヒリヒリするようなシリアスな曲調から一変、時にコミカルに軽快にこの国と政治を痛烈に風刺する。
ここでスクリーンに映し出されたピッキング時のアコギボディに無数の傷跡が見える。このギターも長渕と共に長きに渡り一心同体ゆえに刻まれた、証と勲章であろう。
上機嫌の長渕がギター1本で演った「かましたれや」も見事な音色♪
ここからは再び、バンドスタイルで…重厚なバスドラから「情熱」へ。ここまで、近年の"長渕風ロックンロールショー"を意識した構成であろう。怒涛の如く、たたみかけてゆく。
そのままの演奏で繋ぎ〜「SUCCESS」へ。僕が長渕の近年曲でもかなり好きな曲。荒野を駆けるように疾走するメロディーと広がりある世界観を感じずにはいられない。ここでもツインリードエレキが泣きに泣きまくる♪ この曲は前回ツアー時から、また次回以降もやってくれたらいいなぁ…と思い願っていた1曲なだけに、嬉しいサプライズ(^^)
ここからのMCでは、震災における現地での悲惨な現実と実直な思いを赤裸々に語りながら…生まれた曲群たちが続く〜「2匹の鯉のぼり」「ガーベラ」は、のどかで美しいフォークの源流を感じさせるメロディーを指で優しく奏でながらも、切ない。そして、この日のハイライトとも言える「カモメ」へ。アルバムでは聴き知れなかった'悲しみの情念,がLIVEでは、心を鷲掴みにされるかのように圧倒的に押し迫ってくる。スタンドマイクで歌う長渕の後方スクリーンには、3月の[報道ステーション]で放送された映像シーンが断片的に切り繋がれていく。まさしく、1曲の長編大作である。原発への衝撃的メッセージも織り交ぜながら、深く掘り下げたドラマ的ですらあった。
一辺一変、エレキを持った長渕が「蝉」を。今ツアーでは意外?な選曲に感じる。夏だから「蝉」か!?
その勢いのまま〜「泣いてチンピラ」へ。LIVEでもお馴染み〜この曲は発表から25年以上の時を刻みながらも、哀愁感は色褪せる事なく…今なお磨かれ続け、息吹を吹き込み、光り輝く。その点では、その後に演奏された「明日へ向かって」「勇次」も同様である。
今ツアーのタイトルにもなっている「RUN FOR TOMORROW」では、ここでも長渕の両翼とも呼べるツインリードを前面に押し出し、会場の熱と一体感を持続する。
一番聴き込んだ「愛おしき死者たちよ」は、原曲に忠実に再現され〜しっとりとささやくように歌った。
そして、ニューアルバムのタイトルソングにして、ラストを飾る「STAY ALIVE」。この曲は当初、ニューアルバムのタイトルが「RUN FOR TOMORROW」で決まっていたところ…、曲としての「STAY ALIVE」が最後に完成し、アルバムタイトルとツアータイトルを変えたかった長渕は、次のアコギ1本のセンターステージツアーとニューアルバムのタイトル変更は間に合ったものの、いち早くリリースしていた今ホールツアーだけはタイトル変更が間に合わず、当初の「RUN FOR TOMORROW」のままになったという経緯があったりする。
バックコーラスを交え〜アコギ1本でしなやかに傷を癒やすように届けた。
切り替わった〜ステージ全面が煌びやかに星空となり、「ひとつ」へ。あの紅白での情景が蘇る。会場は大合唱で文字通り…ひとつに。曲の終わりも紅白同様、震災で亡くなられた方々の魂が天に昇っていくその無念の思いを光とした。
この鎮魂バラード3部作から、「しあわせの涙」へ。この曲はホールキャパならではの息づかいが聞こえるような空間では、心まで優しく染み渡る。
アンコールに、白Tシャツで勢いよくステージに戻ってきた長渕が、最近歌い続けている「乾杯」をギター1本で。このスタイルの良さも真骨頂もわかるが、いつしか…あのリメイクしたシンセが奏でるイントロから始まり〜あのままの「乾杯」を聴いてみたいと願い止まない。
時は21時04分。
ここまで2時間30分。
予定調和的に、余韻をかき消すかのように、会場の照明は早々と上がり…終演アナウンスが流れる。
これまでの各地の公演では、ここで終わっている事があるのも知っている。
しかし、地元・鹿児島のファンの鳴り止まないコールに、長渕がステージに再び現れる。にかっと笑い、最後だぞ!と言いながら「HOLD YOUR LAST CHANCE」をアコギとコーラスで。前ツアー[TRY AGAIN]ファイナルの代々木を思わせる演奏だった。
これにて終演。
全21曲。2時間30分。余力を残してるであろう長渕のLIVEにしては、僕は正直、物足りない。特に近年のLIVEツアーを見ていると尚更に。
ホールならではの時間制限でもあるのか?
まぁ、それでも、長渕自身のアコギテクニックとプレイは言うに及ばずだが、予想通り〜バンドスタイルの演奏も非常にタイトにまとまっており、クオリティは日本アーティストでは、芸術的・極上域の最上級エンターテイメントショーである事を今回も感じ得る。歴然としたキャリアと実績が成せる凄みと巧業。
そんな恍惚たるLIVEだった。