今宵〜最後に選んだお店。
青山の閑静な路地裏に佇む、中世にタイムスリップしたかのような〜1軒家。
それが今まで、敢えて行かなかった……ようやく〜この歳で、くぐる事を自身に許した唯一無二のBARであります。
「BAR RADIO」
BARに興味をもつならば、誰しもが耳にするはずの、名店中の名店。
オーセンティックBARなんですが、正直、僕は…オーセンティックBARには興味がなく〜銀座などにある有名店らにも全く行こうとは思いませんが、「BAR RADIO」だけは別格です。
BAR業界広しといえでも、僕が"現代の名工・巨匠"と思える〜店主・尾崎氏は残念ながら不在でしたが、出版された2冊のカクテルブックは両方、BARをやる時に購入したほどです。
衝撃的でした。
"いつか、あんなグラスやカクテルを出すBARがやりたい!"
当時、BARをやる誰しもが、そう〜思ったでしょう。僕もしかり。
尾崎氏の、茶道や花道らの流儀を反映させた〜接客やサービスのスタイルには、独学独創的・"RADIOの世界観"を見事なまでに作り上げています。
そんな息吹が隅々まで行き届いています。
余談ですが……福岡には、タイプは違うながら〜お茶屋風でオカマキャラを演じ(笑)、表層上の影響を思わせるBARがあったりしますが(苦笑)、「BAR RADIO」という小さくも巨大な現実と真実を前に何とも虚しく響きます。
もし今回、尾崎氏がいらっしゃったら〜代名詞の一杯でもある、"ドライマティーニ"を人生初で、頂こうかと思いましたが、これは次回に持ち越しになりました。
しかしながら、グラスのコレクション1つからにまつわる〜歩んできた物語は、まさに"生ける伝説"。
まさにドラマ。
まさに美の世界。
まさに文化レベル。
やはり〜紆余曲折ありながらも、そうそうたる顧客を育み……、ここを巣立った、名バーテンダーと名店を輩出した功績も数知れず。
時空を越え、まだまだ脈々と受け継がれるであろう〜尾崎イズムと、渾然一体となった〜美学と哲学の結晶………。それが、「BAR RADIO」。
尾崎氏と長き信頼を持つ「BAR RADIO」の最初の店の設計をされたT先生は、今なお〜僕も交遊があり、御健在。いつしか…T先生による〜BARを僕がやった時、今だ存在し得ない新たなBARの世界観が始まるでしょう。
そんな事までを思わせてくれた、素晴らしくも幸せな空気感と時間に乾杯!
久しぶりに口にしたお酒と共に心酔した余韻が長く〜続きます。
思い出の1ページになりました。
ありがとうございました。
ご馳走さまでした!(^^)